紀州備長炭とは
平安時代に南紀州(熊野地方)で焼かれていた炭は熊野炭といわれ、江戸元禄時代に熊野炭が改良されたものを一手に商っていた「備中屋長左衛門」の名前から「備長炭」の名が生まれたとされています。
1974年(昭和49年)、紀州備長炭の製炭技術は、和歌山県の無形民俗文化財に指定。現在、1970年(昭和45年)に結成された「紀州備長炭技術保存会」によって保持されており、技術の継承にあたっています。
生粋の和歌山産
継の備長炭は、和歌山県すさみ町の自然豊かな山々から伐採された、炭材に最適な姥目樫(ウバメガシ)を使用しています。
ウバメガシは非常に硬く成長が遅いことから、一度に全て伐らずに、太い幹を選び細い幹は残して成長を待つ「択伐」という伐採方法を用いています。
この択伐により、原木の安定供給体制と山のサイクルが保たれ、すさみ町の豊かな自然を次世代へと守り継いでいるのです。
長時間、安定して燃え続ける
炭化の最後に空気を入れ窯内を1000℃以上で均一に熱処理し、その後、窯よりかき出して素灰をかけ消火します。炭の表面に灰がついて白くなることから「白炭」と呼ばれています。
約1000℃で均一に高温熱処理されているため炭質は均一に硬く、硬度は17度前後です。又、炭化度は98%を超え、組成は違うもののダイヤモンドと同じ成分です。
白炭は火がつけにくいのですが、素灰で消火することで着火点を50℃も降下させ、さらに湿気や雑菌もつきにくくしています。
電気特性・吸着特性に優れ、マイナスイオン発生など多くの用途があります。
最近では航空宇宙工学でも役立っており、超ローテクがハイテクに役立っています。
10日以上かけて焼き上げる
すさみ「継」窯は、姥目樫を約4t詰めます。自発着火するための口焚きに約2tの雑木を焚きます。
1ヶ月に1窯ペースなので冷めた窯に木を入れるため2週間程度かけて焚きます。窯の上層部姥目樫に火がついてから焚口部分と火穴を閉じて、約5日後「あらし」(精錬:少しづつ空気を入れていく)約12時間、その後窯だし約12時間かかります。
昔は、窯だし後3時間ほどで窯に木を詰めていたので5~7日でひと窯という、信じられないペースだったそうです。
4tの原木が10%(400kg)が炭になるのが通常ですが、紀州備長炭 継では15%を炭にします。毎窯、原木も環境も変わるので品質と製炭量を一定にするのは難しく、熟練の技と五感で窯内を調整し、安定して高品質な備長炭を創ります。
窯元概要
名 称 |
紀州備長炭 継 |
窯 元 |
和歌山県西牟婁郡すさみ町周参見字洞谷5037-4 |
製炭師 |
盛田 佳代、金堂 礼 |